イスラム国参加の疑いで公安部から家宅捜索を受ける
先日警視庁公安部は、イスラム国に参加するために渡航しようとしたとして、「私戦予備および陰謀」の疑いで、北海島大学の学生(26)ら複数の日本人の家宅捜索を行った、という報道がありました。
イスラム国に参加しようとする日本人がいたことには別に驚きはありませんでしたが、公安部がこのような容疑をかけたことに驚きました。
警視庁公安部とは
簡単に言うと、公安警察は日本国の秩序を脅かす事象を調査し防ぐのが目的の組織。思想犯を取り締まるといった方がわかりやすいでしょうか。
一方警察は治安維持の側面が強く、主に起こった犯罪に対して対処する部門になります。
実際に窃盗や殺人などの違法行為をした者を取り締まるのとは違って、思想犯の逮捕は非常にデリケートな側面があります。基本的には思想・言論の自由が守られる日本国において、思想で逮捕にこぎつけるまでには手段を選ばず、そこが問題視されるケースもあるようです。
実際に盗聴・盗撮・ピッキング等の違法行為を犯して調査することもあり、その手口が警察に取り締まられるようなことがあれば、「個人の行き過ぎた行為として」公安部から切り離した形で対処されようになっています。
基本的には秘匿性が非常に高く、公安部所属の人間は偽名を持っていたり、身分を公開することはあまりないといいます。とまあ色々な情報は飛び交っていますが、謎の多い組織です。
私戦予備および陰謀とは
外国に対して私的に戦闘行為をする目的で、その予備又は陰謀をした者は、3月以上5年以下の禁錮に処せられる(刑法93条1項)。
本罪の行為は外国に対する私的な戦闘行為の予備・陰謀であり、「外国に対して私的に戦闘行為をする目的」を必要とする目的犯である。
なお、自首した者は、その刑を免除するとされている(刑法93条2項)。これは必要的免除である。
今回はこちらの刑法に抵触するという容疑をかけられ、家宅捜索となりました。
実は日本でこの刑法が適用されたのは今回が初めてのケースとなっており、専門家の間では話題になっているようです。
ちなみに傭兵といわれる、ビジネスで戦場に赴く行為はこの刑法に抵触しないのでしょうか。今まで傭兵とされる日本人は間違いなく存在したはずですが、この刑法は今回が初めて適用されました。
ここからは素人の解釈ですが、国に加担するかテロリストに加担するかで、この刑法が適用されるかどうかが決まるのかもしれません。実際日本の傭兵は各国の軍隊の元で実務をこなすケースが多かったようですが、テロリストに加担したわけではないからです。
条文にもあるように、「外国に対して戦闘」をすることに対しての刑罰で、「犯罪組織に対して戦闘」を行うのは違法ではないということです。今回はテロリスト側に加担し、外国(シリア)に対して戦闘行為を行うという部分に抵触したと解釈ができますね。
なので今回は、イスラム国を鎮圧する公的な部隊に、民間人として戦闘参加を企む分には刑法に抵触しなかったのではないでしょうか。
一連の騒動は公安による見せしめか
今回の騒動に関して言えば、公安部が動く程の「日本国の秩序を脅かす事象」ではなかったように思います。ではなぜわざわざ公安はこの民間人に対して、人件費をかけたのでしょうか。
それはおそらく公安のパフォーマンスで、イスラム国に限らず怪しい動きをする者がいれば、未然に防ぐ術を持っているというのをアピールしたかったのだと思っています。
実際に公安の名前が報道で大きく取り上げられたのは久しぶりで、抑止力が低下してしまっているのを懸念していたのかもしれません。場合によっては、「確証はないが裏で動いている組織」に対しての牽制だった等憶測はいくらでもできてしまいますが。
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